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睡眠関連運動障害について

睡眠関連運動障害は夜間睡眠中に生じる単純で同じ運動のため不眠や日中の眠気や疲労感を呈する疾患群の事です。下記に代表的な疾患を説明します。

  1. @むずむず脚症候群(レストレッグス症候群)(RLS)
    RLSは下肢の異常感覚・不快感(ムズムズする、虫が這う、ズキズキする、水が流れる、火照るなどと表現されることがあります)を伴う、下肢を動かしたいという強い欲求により不眠、特に入眠困難となる疾患です。我が国では1〜4%の方にみられ、男性に比べ女性に多い(1:1.5)とされています。年代間の有病率の差は明らかになっていません。また上記の症状は通常下肢の深部(表面ではなく)に生じ、安静で出現・悪化し、夕方や夜に悪化する事が多いですが、日中では映画館、飛行機や車内など安静にしていなくてはならない状況下でも生じます。RLSの原因として脳における鉄利用障害などがありますが、二次的な要因として、鉄欠乏性貧血、末期の腎不全(透析導入後)、妊娠などがあります。治療は症状がある程度強い方や週2回以上おこる方には薬物療法の適応となります。
  1. A睡眠関連こむら返り
    睡眠中にふくらはぎや足の筋肉の痛みを伴う筋肉の不随意な収縮の事です。覚醒時にも生じますが、睡眠中に生じると睡眠が妨げられます。発生の頻度は毎晩数回〜年に1回と様々で、持続は通常数秒ぐらいですが、時には30分位の事もあり、片側に生じる場合が多いです。原因としては末梢の血管の障害、腰痛症(腰部脊柱管狭窄症、神経根障害)、電解質の異常、脱水、甲状腺の疾患、糖尿病、妊娠などがあげられています。治療としては痛む筋肉の保温やストレッチあるいは運動に関連した筋肉のけいれんに対しては水分・塩分補給が有効です。薬物治療もおこなわれビタミンB群の投与、筋肉の弛緩薬や漢方薬の投与などが有効となります。
  1. B睡眠関連歯ぎしり
    睡眠中の歯ぎしりにより覚醒を伴うものであり、睡眠の分断が生じ、また歯が異常に磨耗し歯痛、下顎の筋肉痛や頭痛が生じます。本人には自覚がなく日中のけんたい感を訴えられる事もあります。生じる頻度は加齢とともに減少します。性差はありません。治療は口腔内装置により歯の磨耗を防ぐことや、薬物の眼前の投与が有効と報告されています。
  1. C周期性四肢運動異常症
    睡眠中の周期的な下肢の筋肉の収縮であり、母趾の背屈にしばしば足関節や膝関節の屈曲を伴います。数秒の持続時間で約20〜40秒間隔で4回以上出現します。これにより不眠や日中の生活機能の障害が生じる事があります。その場合は薬物療法がおこなわれ有効とされています。

以上ですが、アルコール、カフェイン摂取、喫煙や睡眠導入剤の新規の服用などは上記(特にRLS)の誘発に関連する事があり、これらについても考慮する必要があります。


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