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男性は女性よりもがんになりやすい!

がん研究振興財団の統計によると、がんの罹患率は19歳までは男性がやや高率ですが、それ以降54歳までは女性のほうが高率になり、55歳以降は男性が顕著に高くなると報告しています。そして79歳まででは男性のがんに罹患する確率は39.6%であり、女性の27.5%とくらべると約1.4倍男性のほうががんになりやすいとしています。
乳房、子宮、卵巣、前立腺などを除く男女共通の部位については、いずれの部位も男性ががんになりやすく、79歳までの累積リスクで、食道が5.7倍、続いて胃2.6倍、肺2.4倍、肝臓2.3倍、大腸1.6倍となります。日本人において確立したがんの原因としては、喫煙・受動喫煙、過剰飲酒、運動不足、肥満・やせ、食事(塩分・塩蔵食品過剰摂取、野菜・果物摂取不足)、ウイルス・細菌への慢性感染が挙げられます。このうち最大の原因は喫煙であり約30%を占めます。次が慢性感染(ピロリ菌、肝炎ウイルスなど)の約23%であり、飲酒の約9%が続き、その他上記にあげた原因となり、各々の原因の重なりの影響を取り除くと、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%がこれらの確立した原因により起こっていると推定されます。そしてこの原因割合で性差が大きいのは喫煙と飲酒であり、この2つの生活習慣の男女の保有割合の差で、がんの原因の性差の多くが説明できます。
たとえば肺がんにおいては男性の累積罹患リスクは5.9%であり、女性の2.5%の約2.4倍高くなります。(79歳までのリスク)肺がんの確立した原因の人口寄与リスク割合は男女おのおの喫煙・受動喫煙の合計が69.1%と36.5%と推定されており、これらの原因を除いた累積罹患リスクは男性1.8%、女性1.5%と近似してきます。すなわち肺癌の性差の多くは喫煙で説明可能となります。
同様に食道がんを推定するとそのリスクの性差の多くは喫煙と飲酒で説明可能となるのです。
胃癌の場合は、年齢、ピロリ菌感染、胃粘膜の萎縮、喫煙、高塩分食品摂取、胃癌の家族歴などで調整した後も、男性の累積罹患リスクは女性の2.2倍となり、これは確立した原因では説明できない性差が存在することを意味します。同様に肝臓がんも肝炎ウイルス感染、年齢、飲酒、喫煙、肥満などで調整した後も、男性は女性の1.5倍の罹患リスクとなり、性差が存在します。
これら男性であることが、女性よりがんの罹患リスクが高い事の原因は不明ですが、女性ホルモンが予防的に働く事や体内に貯蔵されている鉄(男>女)が酸化的に働き、がんを誘導しやすくするなどが考えられていますが、詳細はいまだ不明です。
以上、今回は男性はがんになりやすい!?をとりあげました。

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