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夜間頻尿と睡眠障害

夜間頻尿とは、夜間に排尿のため1回以上起きなければならない事を言います。
2回以上になるとQOL(生活の質)の支障を来しやすくなり、特に高齢者では転倒、時に骨折の原因にもなります。さらに3回以上の夜間頻尿の患者さんでは死亡率が高いとの報告もあります。夜間頻尿は膀胱容量の減少あるいは夜間尿量の増加が原因となって発生すると考えられており、臨床的には前立腺肥大、過活動膀胱、神経因性膀胱、加齢による現象などさまざまな要因が関与しています。
睡眠障害と夜間頻尿は密接な関連があり相互な関係は悪循環に陥る事もよくあります。
高齢の人は若い人に比べて深い睡眠の頻度が減り、浅い睡眠となるため中途で覚醒する事が多くなります。夜間頻尿回数と中途覚醒は相関し、夜間頻尿が睡眠障害の原因となるとともに、睡眠障害が夜間頻尿を引き起こします。
夜間のトイレ後の入眠困難や、浅い睡眠からの中途覚醒は膀胱容量の低下を来して尿意の原因となります。他方で排尿時に光を浴びると交感神経の機能を亢進させ、メラトニン(睡眠に導びく)の分泌の抑制の原因となり、入眠困難・浅睡眠の原因となって悪循環に陥るのです。したがってこの悪循環を断ち切ることがQOLの改善につながります。
夜間頻尿を生じやすい主な睡眠障害は下記などをあげる事ができます。

  1. 不眠症(器質的な体の病気、薬物、心理的・環境的要因)
  2. うつ病
  3. 睡眠時無呼吸症候群
  4. 周期性四肢運動障害(依然ホームページで紹介しました)
  5. むずむず脚症候群(依然ホームページで紹介しました)

2.〜5.はそれぞれに対する治療を行うことが重要です。1.は不眠症の原因となる病気の治療や薬剤の変更、生活習慣の改善などを行っていただきます。

また睡眠の観点から夜間頻尿に対する以下のような生活の改善も必要です。

  1. @就寝前の飲水を控える
  2. A就寝前3〜4時間のアルコールやカフェイン類を避ける
  3. B就寝前1時間あるいは中途覚醒時の喫煙は避ける
  4. Cできれば就寝1時間前から部屋の照明を暗くしてリラックスできるような環境を作る
  5. D昼間に光を浴びる(夜間のメラトニンの分泌量が増加し、睡眠を促します)
  6. E朝一定の時刻に起床する
  7. F規則正しい食事習慣(特に朝食をとることが重要)
  8. G就寝前1〜2時間に入浴をする(足浴も有効)
  9. H昼寝は昼食後に30分程度行うのはよいが、午後の3時以降には行わない
  10. I夕方に軽い運動を行う

一方、薬剤を用いる場合は、われわれ医師が患者さんの不眠のタイプ、原因となる病気があるか、患者さんの年齢、全身状態や生活状況などを踏まえたうえで睡眠薬を選択します。
すなわち不眠があるから夜間頻尿になるのか、あるいはその逆なのかを考え、主な原因がわかれば、それに対する治療をおこなうとともに、上述の生活の改善と件に一緒に相談しながら行う事になります。

 

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