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女性と健康(生活習慣病)

わが国の人口動態統計によると、女性の死因は年齢で調整した場合、1位から順に悪性新生物(癌など)、心疾患、脳血管疾患となり、脳・心血管病は日本人女性の死因の多くを占めています。このことは男性においても同様ですが、女性の場合年齢的な変化に特徴があります。たとえば脳卒中・心筋梗塞による年代別死亡率は男性が女性よりも高率で推移しますが、女性は70歳以降急に増加して男性に追い付きます。そして色々な疫労研究から、女性は50代から脳・心血管病の発症が増加することが分かっています。このことはわが国の女性の平均閉経年齢が50歳であることから、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少と関連していると推測されます。脳・心血管病のリスクとなる生活習慣病も同様な傾向が見られます。たとえば女性の高血圧者の割合は50歳未満は10数パーセントですが、50歳代で約35%そして70歳以上では約76%にもなり、糖尿病が強く疑われる女性も50歳未満では2%未満ですが、50歳代で約5%、70歳以上では約17%になります。このように女性は50歳代から生活習慣病や脳・心血管病が増加していくため、閉経前までは女性ホルモンにより守られていると言うこともできるのです。
それでは閉経前女性の将来の生活習慣病のリスクとなる人を見つける事はできるのでしょうか。それは女性が、男性と異なる点に着目する必要があります。すなわち妊娠・出産及びその経過が将来の生活習慣病や脳・心血管病の発症を予測する事が明らかとなっているのです。
たとえば、妊娠高血圧症候群(PIH)や妊娠糖尿病(GDM)は妊娠時における合併症ですが、これらに罹患された女性は将来の高血圧や糖尿病、脳・心血管病の発症リスクが高いことが明らかとなっています。PIHの既往の女性は正常血圧女性と比較してみると、出産5年後という短期間で高血圧発症リスクが約10倍高く、GDM既往の女性では産後5年間で糖尿病進展率が、正常妊娠では約1%であるのに対し、約20%と高率であったという報告もあります。したがって妊娠中にこれらの既応のある女性の方は、進んで健康診断などを受けられる必要があると思われます。(市区町村の特定健康診査は40歳以上の方が対象であるため)今回は女性の健康問題に関して説明しましたが、上記に心あたりのある方は、当医療機関などで健康診断をされるか受診して下さい。

 

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