お知らせ

慢性便秘症の人へ

慢性便秘症は排便回数減少を特徴とする大腸通過の遅延型便秘(大腸通過の正常型便秘もある)と排便困難を主な症状とする便排出障害といった病型により分類されることが一般的です。(腸菅に器質的異常を伴わない場合)その頻度は一般住民の15〜25%に存在し、女性に多くまた家族歴がある人に多いとされています。慢性便秘症の人は胃食堂逆流症、過敏性腸症候群などの他の機能性の消化管疾患を併存している事も多く、生活の質は健常者と比較すると低下していると報告されています。最近よく話題となる大腸癌発生のリスクに関しては、慢性便秘と相関するという報告や相関はしないという報告があり一定の見解は得られていません。
しかし痔核や肛門が脱出する肛門脱などの肛門部障害や、尿の流出障害(尿閉)、下肢静脈瘤の増悪、誤嚥性肺炎の発症などの合併症をおこす事が認められており、慢性便秘の管理は重要です。慢性便秘の生活習慣よりの改善法としてはいくつかあげられています。一つ目はみなさんよくご存知の食物繊維の接種量の増加で多い場合は便秘症状が少ない事が報告されています。しかし過剰な摂取は便秘を増悪させる可能性があり(大腸通過の遅延型の人など)適切な摂取量(20g/日)が効果的とされています。また食事に関連したことでは朝食を欠食すると便秘になりやすいとされておりその摂取は重要です。女性ではダイエット経験のある人や昼食摂取の少ない人で便秘が多く、食事摂取時の咀しゃく回数が多い人には快便が多いと報告されています。
二つ目は適度な水分摂取です。水分摂取不足による脱水は腸管通過時間の遅延のみならず排便回数や排便量の減少を引き起こし、水分摂取量の増加によりこれらの便秘に伴う症状を改善すると報告されています。したがって高繊維食と水分2ℓ/日程度の摂取により便秘に伴う症状の改善が期待できます。運動に関しては一定の見解は得られていませんが、身体の活動性の低下は消化管通過時間の遅延の要因となり便秘を引き起こす可能性があり、適度な運動は便秘の改善に有効と考えられます。腹壁マッサージの効果も報告されています。さらに生きた微生物であるプロバイオティクスの摂取により排便回数の増加や便形状の改善、腸管通過時間の短縮などの効果が認められています。したがって慢性便秘症は重症になると上記にあげた以外の重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、いま記述したような食事や運動を含めた生活習慣の改善を図ることが大切です。薬物療法は基本的には上記をおこないなおかつ改善しない場合の治療となります。慢性便秘症の人頑張って下さい。


慢性便秘症・追加

前回慢性便秘について記載しましたが、慢性便秘とは実感としてはわかっているけれども(どのような症状をいうのか、はっきり知りたいと思われるところですね。)医学的には以下のようにとらえています。
器質的な病気による便秘を除き、特別な原因を認められない便秘を特発性便秘とよび、その中に慢性の機能性便秘と便秘型過敏性腸症候群があります。前回記載したのはその前者で下記のような症状がある場合をいいます。
6カ月以上前から症状があり、最近3カ月間は下記の3項目が認められる。
1. a.排便の25%より多くいきみがある
b.排便の25%より多く兎糞状便または硬便がある
c.排便の25%より多く残便感がある
d.排便の25%より多く直腸肛門の閉塞感あるいはつまった感じがある
e.排便の25%より多く用手的に排便促進の対応をしている(摘便、骨盤症の圧迫など)
f.排便回数が3回未満
以上の内2つ以上の症状がある場合
2. 下剤を使わないときに軟便になることはまれ
3. 過敏性腸症候群ではない
ちなみに3.の便秘型は以下のように考えられています。(便秘型過敏性症候群)腹痛が最近3カ月の間、1週間につき少なくとも1日以上あり、下記の2項目以上の特徴を認める。
1)排便(便秘)に関連する
2)排便頻度(便秘の頻度)の変化に関連する
3)便形状(外観)の変化に関連する
以上です。機能性便秘を追加説明しておきます。

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