お知らせ

高齢者高血圧の特殊性とは?

わが国における高齢者の割合は、ご存知の通り年々増加しており、65歳以上の人は全人口の27%、75歳以上の人は13%(2017年度)の割合になっています。

また高血圧に目をうつすと65歳以上の人の約60%、75歳以上の人では実に70%が高血圧に罹患しているとされています。一口に高齢者といってもその生理機能はさまざまで健康的にスポーツを楽しんでいる人もいれば、フレイル、サルコペニア、認知機能低下などの病態を有している人もいます。しかし加齢に伴う生理的・病理的な変化はほぼどの人にも出現してきます。しがたって高齢で高血圧の人はそれに伴う病態を知っておくことが大事です。今回それらについても説明します。1番目として加齢に伴い動脈硬化や血管の弾性の低下(血管が硬くなる)が出現します。そのため収縮期血圧(上の血圧)だけが高血圧に該当する孤立性収縮期血圧(以前のWebに記載)の人が増加します。また起立性低血圧(立ちくらみを感じる事がある)、起立性高血圧も出現する事があり、これは予後不良の予測因子とされています。食後も血圧低下(食後のふらつき)(食後約1時間前後に血圧の低下がおこり炭水化物の摂取で出現しやすい)を認める事もまれではなく、血圧の動揺性の増大も出現します。2番目に説明する事は高齢者の人は塩分の摂取増加により血圧の上昇が大きくなる人が多いことです。したがって高齢でない人にも増して減塩食は大切です。ただし過度の減塩は大量の発汗時などには脱水の誘因となり降圧薬を服用されている人には過度の血圧の低下をきたすおそれがあり注意が必要です。また味付けの変化により食事摂取量の低下から低栄養となることがあり栄養面においても同様に注意を要します。3番目では加齢に伴い複合的な要因が影響することを記載します。白衣高血圧(以前のWebに記載しました)の増加。夜間血圧の低下しない人が増加します。これは心臓や腎臓に器質的な異常をもっている人が増加することや自律神経障害や認知機能低下などにより出現します。

また容易に心不全を発症します。そして特殊な病態としてまれではありますが、降圧薬の服用を開始されるときに転倒などにより骨折する場合もありうります。そのため転倒・骨折の既応のある人は注意される必要があります。

また高血圧のために有用と思われる生活習慣の修正においては、高齢でない人と同様にその修正は有用です。減塩(注意は上記しました)、節酒、禁煙と伴に運動は必要かつ有用ですが高齢の人は転倒や関節の障害のリスクを考えると速く歩くのではなく、通常の速さでの歩行でよいと考えられます。そしてレジスタンス運動も推奨されますが、やはり事前に医師の判断を仰がれる事がよいとされています。

以上のことを考えると高齢者で高血圧の人はこれらのことをよく理解して、そして血圧のことをよく承知してかつ、知識のある医師のもとでの治療が勧められます。参考にして下さい。

なお当院では高血圧の人の上記以外の個々の病態も考えながら加療をおこなっており、満足された感想をいただいています。いつでも受診されて下さい。加療いたします。

 

お知らせの一覧を見る