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OVS、AOSとは

慢性閉塞性肺疾患(COPD)はタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入することなどにより生ずる肺疾患であり、労作時の呼吸困難、慢性の咳、痰を自覚症状とし、肺機能検査では気流の閉塞を示すことなどは以前のWebにも記載しました。そして禁煙を第一の治療とし、薬物療法、リハビリなどの日常生活の改善などの呼吸器療法を行うものです。我々循環器医はそれと同時にCOPDに合併する虚血性心疾患、肺血管疾患、心房細動、心不全などの発症進展さらにCOPDが進行した場合に出現し強力な予後の規定因子である肺高血圧症を発症していないかなどを慎重に判断し加療を行なっています。
気管支喘息は気道の慢性炎症を本態とし、発作性の呼吸困難、咳、喘鳴、息苦しさなどを繰り返す、可逆性の気流の制限をきたす疾患です。症状は日内・季節性変動があり、治療としては喘息を惹起する抗源の除去・回避などに加え、薬物療法を行ないます。(以前Webに記載しました)。我々循環器医はCOPDと同様に喘息は心血管死、心不全による入院のリスクであることを考慮し、慎重に加療をおこないます。
睡眠時無呼吸は心管疾患発症のリスクとなることは今までに幾度か記載してきました。
今回はCOPD、気管支喘息、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)がしばしば合併することをとりあげます。
COPDとOSAの合併はOVS(overlap syndrome)と呼ばれ、合併頻度は10〜50%と報告されています。COPD患者さんは一般的には高齢のやせ型の男性に多く認められますが、OSAと合併すると(すなわちOVS)若年、体格指数高値、糖尿病、高血圧などを合併する人が多いとされています。このようなことよりOVSの人はCOPD、OSA単独の人とくらべ心房細動を新規に発症することが有意に多く、またCOPD単独の人とくらべ心臓血管疾患を発症することが多く、これに対して間欠的陽圧呼吸(CPAP)による治療が心血管疾患発症抑制に有効であることが報告されています。気管支喘息とOSAの合併はAOS(Alternative overlap syndrome)と呼ばれ気管支喘息の人の10〜50%に認められると報告されています。OSAは気管支喘息と合併すると(すなわちAOS)難治性喘息のリスクとなるとされており、高血圧の発症、前記の心血管死心不全入院などの重大なリスクとなるため慎重な加療が必要です。CPAPによる治療がやはり有効とされています。(喘息、生活の質の改善などに対して)COPDと気管支喘息の合併はACO(asthma copd overlap)と呼ばれており、これも昨今しばしばその予後の良行でないことがとりあげられていますが(COPD単独の人とくらべ)、前期のOVS、AOSと伴に今後の研究課題の疾患(特に心血管疾患の発症に対して)とされており、皆さんの健康を配慮し、よりよくしたいと考えている私には非常に関心のあるところです。今後の検討が望まれるところです。OVS、AOSの概略を説明しました。

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