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くも膜下出血 脳動脈病

くも膜下出血とは脳をおおっている膜と脳の間(くも膜下腔という)に出血がおこることであり、その原因疾患としては脳動脈瘤(くも膜下出血の原因の85%)脳動静脈の奇形、脳動脈の解離などがあります。くも膜下出血の危険因子には喫煙、高血圧、1週間に150g以上の飲酒、一親等以内の脳動脈瘤の保有者の家族歴、女性などが指摘されています。
その他最近ではLDLコレステロールの増加、BMI(体格指数)30以上の人もリスクであるとの報告があります。季節や気候との関連では夏よりも冬に発症が多いことがあるものの、温度、湿度、気圧などとは一定の関連は認めないと報告されています。くも膜下出血の最大の原因である脳動脈瘤はそれが発見された場合、その人の年齢・健康状態や、脳動脈瘤のサイズや形状発生している部位などから脳動脈瘤の拡大・破裂するリスクを勘案にして治療の適応を検討することになります。脳動脈瘤の破裂するリスクから検討した場合、@5〜7mm大以上の破裂していない動脈瘤 A5mm未満であっても頭痛・頸部痛や脳の虚血症状などの症候の出現した動脈瘤、前交通動脈および内頭動脈一後交通動脈の分岐部に存在する動脈瘤、動脈瘤が不整の形を呈する・のう胞(ブレブ)を有する、などの場合治療などの検討が必要とされています。経過観察する場合は、半年から1年ごとの画像(MRI、CTA)による追跡が推奨されます。特に動脈瘤のサイズの大きなもの、ブレブを有するもの、60歳以上の高齢な人、くも膜下出血の既応のある人の動脈瘤などは注意して観察する必要があります。また脳動脈瘤の拡大や形状変化を認めた場合、年間に1.8%の拡大やブレブの発生を認めると変化した動脈瘤の年間破裂率は18.5%と極めて高いとの報告などがあることから迅速な治療の再検討が勧められます。脳動脈瘤の治療には開頭術(頭蓋骨を開き、脳動脈瘤のつけねの部分を金属製のクリップで挟む)と血管内治療(開頭することなく脳動脈瘤の中にプラチナ製の細いコイルをつめ、動脈瘤内部の血流をなくす方法)があり、その施行に関してどちらが優れているかという結論はでていません。施行するに際して、糖尿病や心臓の合併症、頭部の後方を循環する動脈の動脈瘤は共通するリスクとなりますが、それ以外の場合、患者さんの背景、動脈瘤の状況などを検討した上で、最適な治療法を決定することになります。いづれにしても施行には患者さんへの丁寧なわかりやすい説明および患者さんの施行に対する同意は必須となります。施行後は血管内治療は不完全な動脈瘤の閉塞や再発などに対して、開頭手術は脳動脈瘤の再発や破裂(10年で1.4%)があることより長期に経過観察をおこなうことが必要です。
以上くも膜下出血およびその最大の原因となる脳動脈瘤について概説しました。

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