お知らせ

SSS 知っていますか?

SSSは洞不全症候群といい洞結節という心臓に刺激を与え心臓を拍動収縮させる部位の機能の低下などにより、心臓の拍動が遅くなり、それにより脳への血液流が一時的に減少あるいは途絶し失神を生じたり(アダムス・ストークス症候群という)、心不全、易疲労感の出現をおこすものです。原因としては加齢が重要な因子となる突発性(男女差なく発症は70〜80歳代がもっとも多い)のものが多いですが、二次的に生じる場合もあります。それは副交感神経(自律神経)の緊張、薬、体の中の電解質の異常、甲状腺機能などの内分泌の異常などにより一過性に生じるもの(可逆性があり生理的な場合がある)あるいは虚血性心疾患、高血圧、心筋症、心膜炎、膠原病などの器質的(慢性)な原因などにより生じる場合です。SSSは心電図から分類されます。(ルベンスタインの分類)それは下記となります。
T型(洞徐脈):50拍/分以下の原因不明の持続性の洞徐脈
U型(洞停止および洞房ブロック):洞停止は基本となる心臓の拍動の間隔が1.5倍以上に突然に延長した場合をいい、洞房ブロックは心臓の拍動が基本となる拍動の整数倍に延長した場合をいいます。
V型(徐脈頻脈症候群):心房細動などの頻脈の後に洞停止がおこる場合をいいます。
SSSの自覚症状では全身けんたい感、息切れ、はT型が原因の場合が多く、めまいや失神などの症状はU型による場合が多く認められます。V型では頻脈による動悸が停止した後にめまいや・失神の症状を訴えるのが特徴的です。また運動に関連してこれらの症状が出現することもあります。SSSの合併症として塞栓があり、塞栓による症状が初発であることも認めます。SSSの診断は心電図検査で徐脈と症状の関連を直接証明することでなされます。しかしSSSによる症状が疑われるが、心電図で症状との因果関係が証明されない場合も多く認められます。その場合は我々循環器医が詳細に病歴をお聞きし、一過性(前記の副交感神経の緊張など)の洞不全などを除外したり、心エコーなどの画像や心電図などで二次的な病因(前記の虚血性心疾患などの器質的な原因によるもの)を除外します。運動に関連して症状が出現する場合は、自転車エルゴメーターなどの運動負荷試験をおこなっていただきます。その場合、運動によりその人が到達するであろう予測最大心拍数[220-年齢(拍/分)]の85%以上に心拍数が到達できない場合は心拍応答不全とされSSSが疑われます。また夜間に著明な徐脈を認める場合は、睡眠時無呼吸の除外も必要となります。
これらのことをおこなってもSSSと失神などの症状との因果関係が明確でない場合は、体の中にカテーテルを挿入しておこなう電気生理学的検査をおこなっていただくこともあります。(長時間心電図記録ができるようになった現在では電気生理学的検査をしていただくことは少なくなっていますが)
上記などによりSSSと診断された場合は治療が必要となります。この場合、自覚症状が重要となり自覚症状のないSSSの人は、経過観察としていただくことがあります。前記の自覚症状(失神、めまい、眼前暗黒感、易疲労感)あるいは心不全や運動時の心拍応答不全が確認された場合はペースメーカーの埋込みをおこなっていただくようになります。それにより生命予後は良好となることが一般的です。
めまい・失神などをおこす疾患は色々あります。SSSもその一つです。知っておいて下さい。

お知らせの一覧を見る